孤独な雨

悲しみは雨のように降り続く。桃水詩集。

人間失格

“死のうと思った”

“その時自分は 自ら進んで死のうと 決意したのです”

“人に殺されたいと願望した事は 幾度となくあります”

“彼ら人間たちの 目障りになってはいけない”

“友情というものを 一度も実感したことがない”

 

遠くの不幸には手を差し伸べるけど

近くの不幸は見て見ぬふりする

人が人を助けるのは 得する時か

自分がいい気持ちになるときだけ

流されるまま悪事を働く 意識のない罪人たち

 

真実を 求めれば 求める程

仲間外れにされていく

人間というものは こんなにも簡単に

手のひらを反す如くに 変化できるのか

互いに軽蔑しながら付き合い 

そして互いをくだらなくしていく

それがこの世界の 交友だろう

戦うために生きるような暮らし やすらぎが欲しい

群れを離れ 独りになるしかない

 

生存競争の街角で やすらぎを求める僕は 人間、失格

努力しても 群れで生きて行くことができないんだ

独りには幸福も不幸もありません 

ただ一切が過ぎて行きます

 

“神に問う 信頼は罪なりや”

“生きていたい人だけは 生きるがよい”

“人間の心には わけのわからない恐ろしいものがある”

“所詮 人間に訴えるのは無駄である”

"生まれてすみません"

 

「そんなことは 世間が許さないよ」

世間というのは 自分ことのくせに

人の意見のふりして 僕を脅迫している 

世間は常に正しいとでも言うのか

 

夢を語り 理想を持つほど

人や世間とかけ離れて行く

我に冷たき意思を与え給え 我に人間の本質を知らしめ給え

人が人を押しのけても 罪ならずや

神の愛など信じられず 神の罰だけ信じている

もうこれ以上 世間の仮面を被れない

群れを離れ 孤独になるしかない

 

偽りだらけの世間の中で 真実を口にする僕は 人間、失格

理想が邪魔して 世間と調和出来ないんだ

孤独には 悲劇さえもありません  

ただ一切が過ぎて行きます

 

気が付けば ビルの屋上に立っていた

下を見下ろすと 人や車が小さく見える

生きるということは 何かの罰だと思う

僕は もう……… ウ ウワァァァ

ふらつきながら階段を降り

僕はビルを後にした

“世間を見返すまで 生きようと思った”